01.27

商品撮影におけるライトの光の硬さ柔らかさについて(1)
ライティングのこと
私たちがスタジオで商品撮影をするときには業務用のストロボで光をコントロールして撮影をします。光量を調節して露出を合わせるということも重要ですが光の柔らかさや硬さの調整も頭に入れて撮影することも必要です。
光の柔らかさや硬さとはどういうことかというと 例えば太陽光の場合ですと快晴の光線の影はくっきり出て明暗の差がはっきり出ます。

それとは別に太陽が雲に覆われていると影は柔らかくなり明暗の差がそれほどみられません。前者の快晴の太陽光を硬い光 後者の薄い雲に覆われてとどいた光を柔らかい光と呼んでいます。
その光をストロボで調整して表現します。
それでは実際にストロボ1灯を使ってテストしてみましょう。
撮影の実例

これが通常私のところで使っているストロボです。ライトの部分と光を溜めておくコンデンサーが入っている箱(ジェネレーター)とに分かれていて上の写真はライト(ヘッド)の部分です。
この状態ですと直接商品に光をあてていますので硬い光ということになります。
白い背景の撮影台に白い箱を並べてテスト撮影してみましょう。作例B-1
直ライト


作例A-1はライトを直接商品に向けて撮影しました。特別な場合以外は使わないライティングです。
商品の色は非常によく出ていますが箱の影が非常に強く出てコントラストがくっきり出ています。
(撮影した画像は後処理はしていません 全て同じ条件で現像しています。)


トレペ越しライト
作例B-2 ライトと商品の間にディフューザーとしてトレッシングペーパーを垂らしました。例えると太陽に雲がかかっている状態トレペが雲です。
作例A-2 影がぼやけて柔らかくなっていることがわかります。ただし白い箱のライトに対して正面になっている面は作例A-1に比べて少しグレーぽくなっています。


作例B-3 ディフューザーの距離をライトに近づけました。B-2が60cm B-3は25cmです。影が直接ライトをあてたものほどではないですがはっきりしてきました。ライトとディフューザーの距離の調整でもライトの柔らかさの調整できます。
次はライトの光をバンスさせて撮影してみましょう。


カサバンライト
作例B-4 ライトを逆さまにして傘にバンスさせてみました。(カサバンと呼ばれています)このライティングは撮影している現場などでご覧になられたことのある方も多いのではないでしょうか。人物撮影などでも多用されています。影の柔らかさも作例A-2とA-3の間くらいです。色々なところにバウンスしているせいか影が二重になっています。
ライトにつける傘は専門店に売っています。傘屋さんには売っていません(笑)


作例B-5 先ほどのカサバンにトレペでディフューズしました。影が綺麗にボケてとっても柔らかい光です。
ただ言い方を変えるとコントラストが足らず少し眠い画像と言えるかもしれません。
まとめ
それでは硬い光順に並べてみましょう。
直ライト>トレペライト25cm>カサバウンス>トレペライト60cm>カサバントレペ
という順番になります。撮影の時にどのライトをチョイスするかはその時の撮影商品と表現したい仕上がりを想像して決めてください。
おまけです。
それではこのそれぞれのライティングで今度はカラーチャートを撮影してみましょう。
全て同じ光量と色温度も合わせてあります。絞りは全てf11に統一しました。
ここでは何を比べているかわかりますでしょうか?




いかがでしょうか。Webだとわかりにくいですか?
答えはライトをディフューズしたりバウンスして柔らかくなったりすると色の彩度が下がるのです。
新緑や紅葉は天気が良いととっても鮮やかに見えます。でも曇っていると色が出ないですよね。
それと同じなのです。
作例画像の左側に影が出て光の硬さがわかります。
それを見るとC-1が 直ライトですから4枚の中でもっとも硬い光です。その次がC-3 C-2 C-4の順でしょうか。
私が以前フィルムで複写の撮影をするときには凹凸がない限りなるべく硬い光で撮影しました。もちろん色をはっきり出すためです。商品撮影でも色を出したい撮影などはライトの中に色を出すための硬い光を出すライトを仕込んだりしました。
ここまで光の柔らかさ硬さについて説明をしましたがデジタル撮影の現在ではあまり必要のないことかもしれません。
フォトショップを使えばコントラストや彩度 露出まで自由自在です。
少しぐらい色や明るさが撮影するときに合っていなくてもなんとかなってしまいます。
しかしこれらの基本的なことを知ってきっちり撮影をしてその後フォトショップでコントロールすれば撮影の効率も上がりより良い画像を得ることができるのではないでしょうか。