09.21
![](https://i0.wp.com/abst.jp/wp-content/uploads/ph21342-jpg.webp?resize=770%2C422&ssl=1)
白 背景の撮影
白背景を使った商品撮影のやり方
スタジオ商品撮影での白背景の撮影は机の上に白い紙をひいて撮影することが多いですがいくつかの注意点と実際の撮影を紹介します。
白い背景はいろいろな種類があるけど本当は白くない?
私たちが通常使用している白背景はメラニン化粧板と呼ばれるテーブル天板です。
大きさが90cm×180cmで下記の写真のように簡単に曲げることができるのでアールをつけて設置します。
![](https://i0.wp.com/abst.jp/wp-content/uploads/IMG_8865-1100x825.webp?resize=750%2C563&ssl=1)
ただし一般の方には少し大きくて保管するのに手間がかかるので通常は大きめの厚紙を使った方が良いでしょう。
四六判(788mm×1091mm)と呼ばれる大きさの紙です。
世界堂などの画材屋さんに行けば見本も置いてありそのほかの色や厚み紙の質感など確認できます。
試しに世界堂で買ってきた背景に使えそうな白紙と普段私たちが使っている紙の背景と化粧板を並べて撮影してみました。
同じ白ならすべて白く写ると思いますが実はかなりさまざまなトーンや色があります。
![](https://i0.wp.com/abst.jp/wp-content/uploads/ph21389_1-1-1100x733.webp?resize=750%2C500&ssl=1)
わかりやすくするためにトーンカーブでコントラストを調整してます。
ホワイトバランスはカラーチャートのホワイトに合わせてあります。
白と言ってもいろいろなトーンや色?があるのがお分かりだと思います。
上白紙とタントN-9が他に比べ黄色っぽく見えます。
タントはクリーム色に見えると言ってもいいかもしれません。
実際の見た目も他に比べて黄色く見えます。
白上質紙は実際の見た目は白くどっちかというと青みがかって見えましたが撮影すると少しクリーム色です。
ケント紙はスタジオ機材専門店で売っている白ケント紙と呼ばれているものです。
どれも白色の紙として売っている商品ですが比べてみないとわからないものです。
白色背景紙の色情報
用紙 | 色情報 |
---|---|
コピー用紙 | R210 G215 B238 |
NTラシャ無垢 | R217 G220 B238 |
NTラシャ白 | R217 G219 B234 |
タントN-9 | R219 G219 B213 |
白上質紙 | R210 G210 B217 |
ケント紙 | R210 G212 B227 |
メラニン化粧板 | R212 G213 B217 |
カラーチャート白 | R215 R215 R215 |
白だけど白じゃない
少し専門的になりますが本当はどうなのかフォトショップの色情報を見てみましょう。
上の表をご覧ください。
簡単に説明するとR G B 色の三原色(レッド グリーン ブルー)を数値化したもので暗い方から0 明るい方は255 となりモニター上RGB全てが0なら真っ黒 全て255は情報がない白です。
Amazonの商品画像を掲載するときに切り抜いた背景を白にするというのはRGBを全てこの255にするということです。
もう少し説明するとR255 G255 B0 これだと青が全くない完全なイエローYになります。そしてR0 G0 B255だと完全なブルーBになります。
そしてRGB全ての数値が揃って「R0 G0 B0」〜「R255 G255 B255」ということは色味がなく白から黒にかけてグレーの明るさ違いが出るということです。
私たちが使う背景紙はこの数値が揃っていることが望ましいです。
上の表のRGB値を見てください。
一番下のカラーーチャートの白は全て215で当然ですがばらつきがありません。
(ホワイトバランスで基準にしている)
ほかの白紙 見本の画像の見た目通り数値もバラバラですね。
数値同士が揃っているか近いほど色の被りがないということですが驚いたことに白だと見えているNTラシャ2枚は B(ブルー)の数値が突出して大きいです。
黄色く見えている2枚のうちタントN-9はいかがでしょうか。
R219 G219 B213 とほぼ数値上はグレーに近く5ポイントほど若干イエロー。
もう一枚黄色っぽく見えた白上質紙はR210 G210 B217 こちらは7ポイントイエローに近い数値です。
だけどタントに比べ黄色くは見えません。
これはRGの数値がタントより揃って9ポイントほど小さく暗いので黄色味が目立たないのでしょう。
機材屋さんで売っている白ケント紙もR210 G212 B227とブルーの数値が10ポイント以上高いです。
そして私たちが通常集合写真などで使っているメラニン化粧板は ばらつきがあるもののRGBは近くほぼ少しYよりですがグレーです。
それではわかりやすいように先ほどの色見本にカラーチャートの白を縦に貼り付けてみましょう
![](https://i0.wp.com/abst.jp/wp-content/uploads/ph21389_2-1-1100x733.webp?resize=750%2C500&ssl=1)
びっくりです。
カラーチャートはRGB全て215でグレーです。
並べてみると今まで白だと思っていたNTラシャが青く見えませんか?
やはり数値通りの見え方なのです。
目の錯覚と思い込みもあると思いますが チャートでこれが白と指摘されないとNTラシャが一番白に近い背景紙だと思ってしまします。
それでは実際に白ケントを貼った箱をそれぞれの白背景で撮影してみましょう。
まとめ
箱の前にチャートを置いて 左とトップからライトを均等の光量で入れて撮影してみました。
撮影したものを並べてみると 数値通り青いものは青いですね。箱自体が青いのでタントN9 デコラ板などは箱の青さがよくわかります。
私自身も 市販の白色の紙は白くするために蛍光増白材を使っているものが多いのは知っていましたが白く見せるためにここまで青くなっていることは今回のテストで初めて知りました。
厳密な話になりますが 商品撮影で背景をNTラシャなどの青っぽい色被りをホワイトバランスで白く補正すると商品によっては黄色くなってしまいます。
このことを頭に入れて白背景を選んでください。
余談になりますが業務用写真用背景紙のメーカーは何社かありそれぞれいろいろな大きさや色のペーパーを扱っております。そのうちの一社でサベージというメーカーの背景紙の色見本帳がありますのでそのホワイトのところを参考までに複写しました。
![](https://i0.wp.com/abst.jp/wp-content/uploads/IMG_8934-1-825x1100.webp?resize=750%2C1000&ssl=1)
50 Whiteクリームに近い色です。 66 Pure White が白でしょうか。
私のスタジオアシスタント時代 30年ほど前。その時には50番の白しかありませんでした。
おそらく技術的なことで青を入れずに紙を真っ白にする技術がなかったのだとおもいます。
いつの頃からスーパーホワイトが出て もっと白い ピュアホワイトが発売されるようになりました。
撮影しても青くならない白い背景です。
商品撮影に使う白背景のことだけでダラダラと書いてしまいました。
お付き合いいただきありがとうございました。
柳井一隆