2022
01.28

商品撮影におけるライトの光の硬さ 柔らかさと位置の違いによる質感の表現について(2)

商品撮影講座

先日は(1/27のブログ)では光の硬軟を白い箱を置いて影の出方の変化で確認しました。今回は光の質とライトの当てる角度の違いをキャンパス生地を使って質感がどのように変化するか見てみましょう。

生地の設置

撮影台にキャンパス地を設置します。
生地はアイロンをかけても完全に皺をとることはなかなかできません。
そのような時は写真のようにエレン(大きいクリップ)とガムテープで四方から引っ張ります。薄い生地なら確実にシワがなくなります。
今回は少し厚い生地ですので完全に皺はとれませんでした。

ライティング

それではライトを組みましょう。

下の図を見てください分かりやすいようにイラストにしました。

今回のテストのライト位置の説明イラストです。
上から見たライト位置とカメラ側から見たライト位置です。

前後位置は上からの図を見ての通り3段階手前カメラ横から ライト01 ライト02 は真横 ライト03 は反逆光の位置になります。

ライトの高さは3段階 Aはほぼ上から Bは斜め45度 Cは生地の高さとほぼ同じくらいです。
ライトの種類は1/27のブログで説明しました直ライト 直トレペ越し カサバウンスの3種類のライトで見てみましょう。
ちなみにカメラ位置は生地から斜め45度の高さです。

直ライト

最初は直ライトで撮影してみましょう。
作例はわかりやすいようにカメラ横からのライト斜め45度のライトは直01-Bとしました。

9カットそれぞれの角度と場所から撮影しました。

3種類のライトの中では一番硬い光のライトです。
固いということは影がはっきり出てくるということです。

作例直01-A B Cの3枚はカメラ横にライトがあるので手前右から斜め左にかけて影がつきます。
Cは生地の平面と同じ高さから光を入れていますのでライト位置を動かしても影が出て凹凸がはっきり出て左側のアイロンで伸ばしきれなかったシワもよく出ています。


B Aと高さを上げると凹凸が少なくなりフラットになっていきます。
高さを変えると明るさが変わって見えますが光量は一緒です。Cは斜めから光が入り影が暗く見せています。

カサバウンスライト

カサバウンスのライティングで各カットの撮影をみてみましょう。

直ライトに比べて光が柔らかくなっています。

各作例Cを見ると直ライトは生地の表現には荒すぎる光質ですがカサバンは硬めの生地感が出ています。色味も若干グリーン味に傾いています。

これは反射する傘により少し色味の違いが出てきます。

トレペも使うものにより色の差が出ます。

通常はフォトショップで補正をしますが今回はテストですので修正していません。

トレペ越し直ライト

今回の3つのライトの中では一番柔らかい表現をするライティングです。

まとめ

各ライト作例の03-C(一番低い位置で逆から光が入っているライト)が当然ですが一番質感が出ています。

中でも直ライトの作例直03-Cはゴツゴツとして生地というより荒れた木材のようにも見えます。
低く斜めから光を入れて生地の凹凸に影が出て なおかつその影が強いので質感が強く出ます。

全体を見てみるとライトの位置は作例02-B(真横から斜め45度上からのライト)が良いようです。
わかりやすいように各作例02-Bを一枚にしてみてみましょう。

縦三分の一ずつに並べました。カサバンの色があっていなかったのでわかりやすいようフォトショップで他の二つに色合わせしました。

いかがでしょうか微妙に質感の違いが見られます。

この場合はどれが良いとか悪いとかという話ではありません。

ライトの選び方 と位置によりこんなにも表現方法が変わります。

硬い光や斜めからの光ですと質感がとてもよく出てきますが逆に言えばシワが強調され生地の柔らかさがなくなってしまう。

逆に柔らかい光で正面からの光では生地の柔らかさは表現できても質感や奥行き感がなくなってフラットな画像になってしまいます。

例えば布団の撮影やタオルなど生地物の特に質感が欲しい時には応用が効く知識です。
順光と逆から入れるライトを合わせて工夫をすればその商品イメージの質感に近づけるのではないでしょうか。

今回は生地を題材にして質感の表現方法を解説いたしました。
柳井一隆

ABstudioでは広告写真撮影のご依頼を受けて受けております

私たちは商品の撮影を受け付けております。
下記料金は大体の目安となります。ご予算などありましたら柔軟にご対応いたします。
ぜひお問合せください。