化粧品撮影の視点の違いによる見え方の変化
化粧品の撮影でちょっとした目線の違いで表現が変わる実例をお見せいたします。
縦長のゴールドに反射するリップを題材にします。
高さは10cmくらい 最初に3枚の画像をお見せします。

ご覧いただいてどのような印象を受けましたか?
垂直に設置している商品に対してカメラも垂直に撮影しているのでどの写真もたてが真っ直ぐに立っています。
でもそれぞれ何かが違って見えますね。
少しずつ高さを変えて撮影しています。
視点Aは商品の天面にカメラの画面の真ん中に合わせています。
視点Bは商品の真ん中にカメラの真ん中 要するに画面の真ん中で撮影しています。
視点Cは商品の底面をカメラの真ん中に合わせて撮影しています。

上の図のような感じです。
たった10cmの商品でも少し見る位置を変えるだけでずいぶん印象が変わりますね
視点Aからは少しだけ見下ろしている目線なので、キャップの金色が手前にふわっと張り出してきて、どっしり安定した感じ。
“棚の前で、すぐ手に取れそうな身近な一本”という空気で、落ち着いていて現実的、普段使いのコスメという印象が強いです。
視点Bは人と真正面で向き合ったときのように、いちばんフラットで素直な見え方です。
縦のバランスもロゴの存在感も自然で、「私はこういう商品です」とまっすぐ自己紹介している感じ。
カタログやECサイトの“基準カット”のような、公平で誠実な印象になります。
視点Cは今度は少し見上げる視線になるので、ボトルがスッと伸びて、キャップがより高く、堂々とそびえ立って見えます。
ライトを浴びた主役がステージの上に立っているような、ちょっと誇張されたヒロイン感・ラグジュアリー感。
「特別な一本」「憧れのブランド」を強く感じさせる、ドラマチックな見え方になっています。
いかがでしょうかほんの少しの視点の違いで商品から感じる印象がとても変わりますね。
使い方としては私の主観ですが
視点A. 価格訴求や比較
視点B. ECの商品一覧
視点C. ブランド訴求やビジュアルメインの広告
みたいな使い分けも面白いかもしれません。
ただしここでお断りしておきますが ここでの撮影はシフトレンズというある一定の条件下で視点を変えても商品が垂直に撮影できるレンズを使っています。
通常のレンズですと上から撮れば下がすぼんでしまいますし下から撮れば上がすぼんでしまいます。
最もそのように歪んでしまってもフォトショップで修正しても同じことですが。
化粧品の商品撮影
それでは今回の撮影実験を鑑みイメージ商品撮影をしてみましょう。
この商品はクリスチャンディオールというハイブランドのリップです。
金色のキャップがいかにも高級イメージで『ちょっと誇張されたヒロイン感・ラグジュアリー感。
「特別な一本」「憧れのブランド」』 に合うよう少し下から撮影しましょう。
金色の反射するキャップですライトの位置のよって反射が変わり表情もとても変わります。
さまざまな角度からライトを当ててみました。








視点は底面から見上げています。
反射するものは少しのライトの移動でハイライトが変わりグラデーションでの表現が実に面白いです。
結果的に選んだのはこちら。

画像処理をして手前に来ている角にカメラの影が黒く出ていましたので画像処理で薄くしました。
次は反射する商品を正面から撮影します。この商品の場合丸くなっている形状や正面に飛び出したロゴがあるために斜めにカメラの反射を逃して撮影して画像処理で正面にすることは難しいです。
ここは正攻法で正面から撮影します。

真ん中に薄くラインが入りました。おまけに画一的なライティングしかできないのでなんとなくフラットな画像になりました。
商品によっては真ん中に黒い反射の影が入ってもアクセントとして役立つ(反射物の撮影の場合黒い反射シャドーがあると反射が際立ちます)こともありますがこちらの商品では消したほうがよさそうです。

綺麗に直しました。
単純な切り抜きカットでも商品の性格を良く考えて見る位置 ライトの当て方を考えることが大切です。
お読みいただきありがとうございました。
ABstudio柳井一隆

